教授の口演
少し前になりますが、6月の後半に明海大学歯学部名誉教授、荒木久生教授を当院にお招きしてスタッフ向けの口演をしていただきました。
荒木教授は、機能保存回復学講座リハビリテーション学分野元教授で日本歯周病学会指導医・理事、顎咬合学会理事など、書ききれないほどさまざまな学会に所属、要職に就かれている先生です。
元々、私の大学附属病院時代の直属の上司であり、開業してからもずっと懇意にさせていただいていました。
学会でもほとんどご一緒させていただいており、今回折り入って口演をお願いしました。
今回の講演目的は、患者さんの健康がよりベストに近づけるように、歯科衛生士はどういったアプローチをしたらいいのかを話していただきました。
話の軸は、歯周病治療の歯科衛生士目線での考え方です。
歯周病は重度なケースになると、治療が複雑かつ長期化します。
そこで大事なことは、なるべくシンプルに分かりやすく治療方法を伝えること、治療に対するモチベーションを保たせることです。
当院のスタッフは、日本歯科医学会に属する各学会に所属しており、学会参加、認定試験も受けています。
一つ一つの技術や知識はもちろん大事ですが、長く患者さんと一緒に治療を進める中で、患者さんとどう関わっていけばいいのか、ということもとても大事で難しいテーマです。
教授には口演の中で、歯科衛生士はもっと活躍できるし、もっと患者さんに寄り添わなければならないというメッセージを頂きました。
大変難しいケースも見せていただきましたが、長いスパンでお付き合いをしていく中で、歯科医師もそうですが歯科衛生士の役割は非常に重いものがあると感じました。
みっちり時間をとっていただき、スタッフのみんなは普段聞けない話を興味をもって聞いていました。
荒木教授、ありがとうございました。
私自身もまだ歯科医師としては18年くらいですので、患者さんとお話しして治療を進める際に、「この方法が、この方にとってのベストだったのか?」といつも自問自答しています。
治療のゴールは一緒でも、そこまでの道は多岐に分かれていて、「こっちのルートの方がこの方にとっては負担が少なかったかな?」など反省しきりです。
限られた時間の中でお話をして、どこまで寄り添えるかというのは、仕事をしている以上ずっと考えていかなければならないのでしょう。
群馬の偉人、内村鑑三先生が「Dentistry is a work of love」と言葉を残したのは有名ですが、この短い言葉には、なんだか深い意味がたくさん込められているような気がします。